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第43回 山歩きはアウトドアではない

趣味は何ですかと聞かれて、山歩きですと答えると、「あぁアウトドアね」と言われた。山歩きはアウトドアではない。山歩きは登山とかハイキングとかと言われるが、断じてアウトドアではない。山歩きは文字通り山を歩くことであるがアウトドアでは山を歩かない。アウトドアとはアウト・オフ・ザ・ドア・ライフ(Out of the door life)の省略形であり、その意味はドアの外の生活、つまり、「庭の生活」のことであり庭で衣食住を楽しむことを言う。

アウトドア発祥のアメリカでは、庭でバーベキューをしたり、庭にテントを張って寝たりする。これが、本来のアウト・ドア・ライフである。日本でアウト・ドア・ライフが流行するようになったのは、もちろんアメリカの真似であるが、日本では庭がなかったり、狭かったりするので庭ではできない。それで、車で自然豊かな場所へ行ってアウト・ドア・ライフを楽しむようになったのである。

日本のアウトドアの典型的な例は、車にテントとバーベキューセットとを積んで、自然の近くまで行って、そこでテントを張ってバーベキューを楽しんでテントで寝る、というものだ。

したがって、山歩きとアウトドアとの違いは、

  1. 山歩きは山(自然)の中に入るが、アウトドアは自然の中には入らないで自然を外から眺める。
  2. 山歩きは自分の背中にすべての荷物を背負うが、アウトドアは車に荷物を積む。
  3. 山歩きは歩いて移動するが、アウトドアは車で移動する。
  4. 山歩きは運動であるが、アウトドアは運動せずに車を運転して料理して食べて寝ることである。
などとなる。よって、山歩きは健康に良いがアウトドアは健康によいとは言えない。

ところが、最近ではアウトドアの意味を、「屋外のスポーツやレジャー」のことであるとしている。つまり、屋外で行うスポーツやレジャーはすべてアウトドアであるという。スキー、スケート、ヨット、サーフィン、パラグライダー、海水浴、釣り、サイクリング、カヌーなどすべてがアウトドアであると言う。これはもちろん、企業がいろいろな商品を売るために、アウトドアという言葉の意味を拡大して流行させたからである。日本人は外国のかっこいい言葉には弱い。すぐに企業の思惑に乗ってしまう。

こうなると、日本のアウトドアの典型的な例である、「車にテントとバーベキューセットとを積んで自然の近くまで行ってバーベキューをしてテントで寝る」という楽しみ方をどう呼べばよいのであろうか。単にキャンプと呼ぶのか。

もう一つ疑問がある。屋外のスポーツやレジャーのすべてがアウトドアであるとすると、テニス、野球、サッカー、ビーチバレー、マラソン、ジョギング、ウォーキングなどもすべてアウトドアなのであろうか。

さらに疑問がある。アウトドアの反対はインドアであるが、すべてのスポーツやレジャーはアウトドアとインドアとに区別できるのか。つまり、屋外と屋内とに区別できるのか。そうだとすると、屋外プールで泳ぐのはアウトドアで、屋内プールで泳ぐのはインドアなのか。水泳というスポーツは泳ぐ場所によって呼び方が変わるのか。テニスやサッカー、野球なども屋外で行う場合にはアウトドアで屋内で行う場合にはインドアというのか。

言葉の意味は時代により、また、人の都合により変化する。だが、私は断じて山歩きはアウトドアではないと言いたい。なぜなら、アウトドアは高々数十年の歴史しかないが、山歩きは人間が二足歩行をするようになってから現代まで何十万年もの長い歴史があるのだから。

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