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第42回 ジョギングは山歩きの基本

気が向いたときに、気が向いた山に行き、計画を立てないで歩くことは安全・安心で健康によい、と前回書いた。しかし、普段、運動をほとんどしていない人がいきなり山へ行くとすぐにバテたり、怪我をしたりする。そこで、普段どのような運動をすればよいかについて書くことにする。

どのようなスポーツでも、走るというのは体を作るための基本である。よって、どのようなスポーツでも基本練習をするときには必ず走る。陸上競技だけではない。柔道や剣道、バレーやバスケットなどの室内競技でも走ることを基本練習に取り入れている。走ることによって、足腰の筋力だけでなく、心肺機能を高めるなどスポーツをするための基本の体を作ることができる。よって、山歩きの基本の体力をつけるには走るのが良い。

逆に考えれば、走ることができなければどのようなスポーツもできない。走ることによって体調の良し悪しがわかるし、体調を良くすることもできる。近ごろでは、健康のためにウオーキングが勧められている。肥満や病気の人はウオーキングが適しているだろうが、健康な人はジョギングの方が良い。なぜなら、ウオーキング程度では山歩きの体力をつけることはできない。私の場合、ウオーキングでは腹が減るだけで余計に食べてかえって太ってしまう。かといって、80歳でエベレストを征服した三浦雄一郎さんのように、20キロの荷物を背負って、両足に5キロのウエイトをつけて町の中を歩き回ることなど私にはできない。ジョギングはマイペースで走ることであり、自分の体力と相談しながら走ることができる。

歩いたり走ったりすることが人間の基本的な運動となったのは、おそらく、人間が何十万年もの長い間生活しているうちに自然に培われたものだろう。狩猟生活では走らなければ獲物を捕まえることができない。よって、走ることが生きるために必要な運動となり、体がそのように出来たのではないかと思う。もちろん、走る前に歩けなければ、狩猟はもちろん採取も漁労もできない。歩いたり走ったりすることは人間が生きるために必要な基本的な運動なのである。

現代の人間も、普段から歩いたり走ったりしていなければ体力が衰え何もできなくなる。山歩きのためにも、普段から歩いたり走ったりしていなければ、基礎体力をつけることはできない。走り方には、マイペースのジョギングと競技としてのランニングとがあるが、山歩きはマイペースで歩くものなので、基本練習としてはジョギングが適している。定期的にジョギングをして、基礎体力をつけておけば、ある日突然、山に行きたくなっても問題なく山歩きができる。

私の山歩きの方法は、計画を立てないで、気が向いたときに、気が向いた山に出かけて歩くことである。よって、いつでも出かけられるように、装備はもちろん、体力の準備も怠らないようにしている。山に行きたくても、体力の準備ができていないために、行けないというのは実に悔しいからである。それで、週に2、3回ジョギングをしている。

サラリーマン時代には仕事が忙しく、出張が多かったので、週1回のジョギングもろくにできず、山に行きたくても行けないことがよくあった。そして、たまの休みにどうしても山に行きたくなって出かけると、荷物がひどく重く感じられて実につらい思いをした。しかも、コースタイムの1.5倍ぐらいの時間がかかってしまい、夜になっても山を下りられなかったり、小屋にたどり着けなくなったりした。体力が衰えているためである。

現在は仕事より健康を重視しているので、どうしても山に行きたくなったら仕事を断ってでも山に行く。現在、私は65歳を超えているが、若いころにつらい思いをして歩いたコースを、ほぼコースタイムどおりに歩くことができる。これも普段ジョギングをしているおかげである。

ジョギングといっても私の場合いわゆるスロージョギングであって、通常のジョギングよりもゆっくり走る。通常のジョギングは1キロ7分程度の速さであるというが、私は1キロ8分程度の速さで走る。これが現在の私のマイペースである。現在私は標準体重よりも5、6キロオーバーしているので、ダイエットすればもう少し早く走れるかもしれない。私がジョギングをしていると、いつも後から来る人に追い越される。しかし、私を追い越していく人のほとんどがハァハァと息苦しそうにしている。私はもちろんマイペースなので息苦しさを全く感じない。だから、いつまでも走っていられる気がする。私は通常、1時間程度走るのだが、気が向いたときには2時間程度走る。また、ときには休み休みだが、5、6時間走ることもある。これはもちろん、山歩きを想定しているからである。日帰りハイキングでは最低でも5、6時間は歩くからである。

しかし、山歩きはどういうわけかジョギングよりは疲れない。ハイキングの翌日は少しだるい程度である。1時間程度スロージョギングするのと、5、6時間ハイキングするのと疲れ方がほとんど同じなのである。不思議である。誰が考えてもハイキングの方が運動量が多いので疲れるはずだ。ハイキングでは、私の場合10キロ程度の荷物を持って、山道を登ったり下ったりしながら、5、6時間歩くわけである。それに比べて、ジョギングでは、平らな道を荷物を持たずに、ゆっくりと1時間程度走るだけである。どう考えてもハイキングの方がジョギングより疲れるはずだ。しかし、実際には疲れ方にそれほどの違いはない。

ハイキングは森林浴になるし、良い景色を眺めることもできるし、小鳥のさえずりを聞いたり、野山に咲く花を見たりすることもできる。そんなことが疲れをあまり感じさせないのかもしれない。もう一つ考えられることは、休憩の取り方である。ハイキングでは通常、50分から1時間程度歩いて10分程度休憩するのが基本であるが、私の場合、登りではかなり頻繁に休憩するし、下りでもチョコチョコ休憩する。下りで疲れてつまずくと、頭から谷にダイブすることになって危険だからである。つまり、1、2分の休憩を頻繁に取ることによって、疲れがあまり蓄積しないのかも知れない。しかし、10キロ程度の荷物を背負っているわけだから、常に体に負荷がかかっているわけである。それでも、ハイキングはジョギングに比べてあまり疲れない。

NHKテレビの「3ヶ月でフルマラソン」という教育番組を毎回見ていたが、ジョギングで20キロ走れれば、あとは粘りと根性でフルマラソンを完走できる、ということであった。半分走れれば、何とか最後までがんばれるということである。実際、テレビでは20キロ以上走ったことがない人がフルマラソンを完走することができた。また、1キロ9分で走れば、水の補給時間などを含めて7時間で完走できる、とのことであり、1キロ7分で走れば、5時間で完走できる、とのことである。私はフルマラソンに挑戦する気はないが、もし挑戦したとすれば、かなり疲れると思う。実際に、1キロ8分の速さで、休み休み5、6時間走るとかなり疲れる。翌日は全く動きたくなくなるし、翌々日もかなり体がだるい。しかし、日帰りハイキングでは、通常、5、6時間歩くが、ジョギングほどには疲れない。なぜかその理由がよくわからない。休み休み歩くからかもしれない。

神奈川テレビで、「走る男、女子部」という番組があった。参考になるので時々見ていた。旧東海道53次を京都から日本橋に向かって走る。キャプテンの男性一人と三人の若い女性とで、一日、10数キロずつ走るのだが、途中で地域の名所旧跡を尋ねたり、名物を食べたり、走る特訓をしたりしながら走る。ある風の強い日に、腰にパラシュートをつけて、風に逆らって走るという特訓があった。この特訓をやることをキャプテンから聞いた女性たちは最初はうんざりしていたが、いざ特訓を始めると、風で体があっちこっちに引っ張られるのが面白いらしく、キャッキャ笑いながら、しかし苦しそうにヒーヒー言いながら、何度も自主的に特訓をしていた。すぐに音を上げるだろうと考えていたキャプテンはそれを見てあきれていた。きつい特訓でも、面白ければあまり疲れを感じないのかもしれない。

山歩きをしない人は、何でわざわざ重い荷物を背負って山に登らなければならないのかと言う。運動が嫌いな人は、わざわざ苦しい思いをしたくないと言う。また、信じられないことであるが、ある医者は、若さを保つ方法の一つは運動をしないことだとテレビで言っていた。その理由は、心拍数の遅い動物は長生きをし、心拍数の早い動物は早死にをするが、どの動物でも一生の間の総心拍数は一定なので、心拍数が上がるようなことを続けると長生きできないのだという。しかし、これは運動が嫌いな人の言い訳だと私は思う。なぜなら、長い間運動をしたスポーツ選手の平均寿命と、スポーツを全くしなかった人の平均寿命とを比較した結果ではないからである。おそらく、運動をした人の方が長生きだと思う。その理由は、人間の体は何十万年もの長い間歩いたり走ったりしていたため、運動をするように出来あがっているからである。

体を酷使する競技としてのスポーツは若い人に任せて、楽しみとしての運動は死ぬまで続けるのがいいと私は思う。山歩きが好きな私は、普段はジョギングをして基礎体力をつけておき、山に行きたいときに、いつでも山に行けるようにしている。

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