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第32回 あつらえた登山靴を返品した

第30回で書いたあつらえた登山靴が使えなくなって返品した。当初、履くたびに少しづつ足になじんできたのだが、どうもなじむのが早すぎるなと思っていた。足にぴったりと合っているわけだから、なじむのは当然で、これでいいのだろうとも思っていた。しかし、5、6回履いたころ、なじむというよりむしろ、革が曲がり過ぎているのではないかと感じるようになった。そして、深く足を曲げたときに、革が足の親指の付け根に当たるようになってしまったのである。そしてついに、痛くて歩けなくなった。

改めて、革の厚みを調べてみたら3mmしかなかった。要するに、購入するときに店の親父が言っていた、5mmの革ではなかったのである。しかも、どう考えてみても作り方も悪いことがわかった。わざわざ、曲がる部分を薄くして曲げやすくしてある。これでは、曲がりすぎて早くだめになってしまう。そこで、早速、あつらえた店に行って修理を依頼した。すると、修理できないと言う。そりゃそうだ。考えてみれば、革自体がヘタってしまったものを修理できるわけがない。曲がりすぎている部分を内側から補強しようとすれば、サイズが変わってしまうし、外側から補強しようとすると、靴全体を補強せざるを得ない。要するに、革を厚くして、容易に曲がらないようにしなければいけない。そうなると、作り直すしかないということになる。

修理ができないのなら返品したいと言うと、しぶしぶ承知してくれた。私の足型に合わせて作ったわけであり、数回使用したものであるから、中古としても売れないだろう。読者の皆さんもこのような店からは靴を買わないほうが良い。ところで、この店では本当に今まで登山靴を何十年も作っていたのであろうか。あの植村直己さんの靴も作ったと言うが本当だろうか。どうも眉唾ものである。私の記憶では、植村さんの靴を作っていたのは、確か、「高橋」という登山靴専門の店だったはずである。実はこの「高橋」が廃業したときに、私は靴をあつらえておけばよかったと後悔したのであるが、今、改めてまた、後悔している。この「高橋」こそ日本の登山家を育てた靴職人の店だったのである。日本の名だたる登山家で「高橋」で靴を作ったことのない人はいないであろう。私は学生時代からあこがれていたのであるが、なにぶん、高価なので手が出なかったのである。

金が戻ってきたので、早速、改めて私が欲しい登山靴を購入すべく探すことにした。数ヶ所探したが、意外と欲しいものがない。最近では、ハイカーが多く、どの店もハイキングシューズばかりである。それと、冬の高山専用の靴しかない。その中間とも言える、夏の高山や冬の低山でも使えるいわゆるオールラウンド登山靴がないのである。昔は、これが主流であった。今はハイキングシューズで夏の高山や冬の低山歩きをしてしまう。しかし、私には心もとない。安心できないのである。ハイキングシューズはあくまでスリーシーズンの低山用の靴である。なぜなら、岩場や雪と氷の道を歩くようには出来ていないからである。

年を取るほど捻挫したり、骨折したりしやすくなるので、足に負担をかけないようにしたいのである。登山靴を履き慣れていない人は、登山靴は重いし、歩きにくいのでいやだという。足首が簡単に曲がらないので、まるで、スキー靴を履いているようだと言う。しかし、登山靴を履きなれてしまうとこれほど歩きやすく、また、安心できるものはない。重いからいいのである。容易に曲がらないからいいのである。これは決して天邪鬼ではない。重いのは靴が丈夫に作られているからで、岩に足をぶつけても痛くもかゆくもないし、デコボコした道でも足が変に曲げられないので足が疲れにくいうえ、捻挫を起こすことがないのである。しかも、足元をあまり気にせずに歩けるので神経を使うこともない。よって、オールラウンドの登山靴こそ中高年にぴったりなのである。

探し回って、ようやく見つけた。というよりも、以前から目をつけていた靴である。他を探し回ってから、最後に行くつもりでいた店の靴なのである。探し回った結果、やはりこの店の靴しか私の欲しい靴はなかった。ほとんどの店がハイキングシューズと冬の高山専用の靴しか置いていなかった。たまにオールラウンドの靴があったとしても、それは外国製で、日本人の足に合った幅広の靴ではなかった。それで、仕方なく、以前から目をつけていた靴を買うことにしたのである。実は、この靴は、数十年前、私が学生時代からあった靴で高価だったのであるが、最近ではこういう靴を履く人があまりいなくなったためか現在は安くしているのである。しかも、会員になったらかなり割引してくれたので、ずいぶん得をしたような気がした。この靴は、この店の専属の靴職人が作っているので既製品ではあるがいつでも修理できるので安心である。もちろん、日本人の足型を使っているため、ほとんど当たることがない。しかも、かなり丈夫で革の厚みも4mmある。

この靴を数回使ってみたが、実に良い。なぜ、最初からこの靴にしなかったのかと思うほどである。ちなみに、外国の靴で私の足に合った幅広の足型を使っているのは、ローバーとライケルである。したがって、私が今まで購入して使用した靴もローバーとライケルである。しかし、当然、外国人にも販売しているわけだから、靴の種類によっては全く合わないし、実際に、今まで使った靴でぴったり私の足に合った靴はなかった。大まかには合っていたので使っていたのであるが、使っているうちに次第に当たる部分が出てきて修理しながら使っていたのである。したがって、もし、これから登山靴を購入しようとする人は、しっかりと確かめてから購入する必要がある。いずれにしても、靴選びには苦労をする。

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