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第24回 基本装備について

日帰りか一泊小屋泊りの低山ハイキングの場合、夏山装備と冬山装備とを比べたらリュックの重さはどちらが重いと思いますか。多くの人は冬山だと答えるに違いありません。しかし、答えは夏山です。なぜなら、夏山でも冬山でも共通して持っていく基本装備のほかに、追加する装備の重量を比較してみると、夏山の方が重いからです。夏山では基本装備に追加して飲み水を余分に持っていかなければなりません。もちろん、冬山でも飲み水は必要ですが、冬山では1リットル程度あれば十分で、夏山では最低でも3リットルは必要なのです。この差2リットル分の重量2キロは冬山装備の軽アイゼンの重量より重いのです。冬山では追加する装備は軽アイゼンだけなのです。防寒具は最初から身につけていますし、もともと軽いので重さを考慮する必要はあまりないからです。

基本装備は夏山でも冬山でもほとんど同じで、重量にあまり差はありません。例えば、衣類についてみると、冬は都会でも寒いので最初からある程度の防寒具を着ていき、山では歩いているときは脱いで休憩するときは着るわけです。その他に基本装備として防寒具と防寒具兼雨具の上下を持っていきますので、より寒くなっても問題ありません。夏では家を出る時はTシャツと薄手の長袖シャツで、山では歩いているときはTシャツで休憩するときは長袖です。その他、基本装備の防寒具と防寒具兼雨具の上下を持っていきます。したがって、低山の冬山と夏山の装備の違いは衣類以外の軽アイゼンと水の追加分の違いだけなのです。ちなみに、私の場合、低山歩きでは夏でも冬でも基本装備は10キロ程度です。また、自炊する場合には水、食料、コンロなどが別に必要となりますので12キロ程度になります。

では、2、3泊小屋泊まりの夏の高山歩きの場合はどうでしょうか。夏の高山では雪渓があることから分かるように多少寒いですし軽アイゼンが必要なので、冬の低山歩きの場合と装備は変わりません。しかし、アプローチでは暑いので飲み水が大量に必要となり、水の重量分だけ冬の低山より重くなります。一方、冬の高山では防寒具をいっそう強化し、10本爪以上のアイゼンとピッケルが必要ですが、水はあまり必要ではないので装備の重さは結局夏と冬とではほとんど変わらなくなります。しかし、歩行中はアイゼンは足につけピッケルは手で持ちますから、結局、ザックはやはり夏の方が重くなるのです。私の場合、高山歩きでは夏でも冬でも13キロ程度です。自炊する場合には15キロ程度になります。

さて、私は低山でも高山でも夏山でも冬山でもいつでも必要な装備を基本装備としています。基本装備はいつもザックの中に入れて玄関に置いておき、いつでもすぐに山へ行けるようにしています。また、基本装備をさらに通常装備と非常装備とに分けています。非常装備をザックの底に入れ、その上に、通常装備のうち、水・お湯、食料、地図を除いて入れておきます。そして、山へ行くときに、水・お湯、食料、地図をザックの一番上に入れると、すぐに山へ行けるだけでなく、山で取り出す頻度の低い順に装備をザックに入れることになりますので取り出しやすくなります。また、重いものを一番上に入れることになるので、背負いやすくもなります。

山へ行くときに、夏の低山では、水・お湯、食料、地図だけ準備すればよいですし、冬の低山では軽アイゼンと水・お湯、食料、地図を準備すればよいのです。その他は身に付ける衣類を決めるだけです。ですから、山へ行こうと決めたら、まず衣類を身につけて、お湯を沸かしてボトルに入れ、夏はそのボトルと地図とをザックに入れるだけですから5分程度で出発できます。冬はボトルと軽アイゼンと地図を入れればよいのです。水と食料は駅のコンビニで買います。

通常装備は、着替え、防寒具(フリース、セーターなど)、防寒具兼雨具(ジャケット、オーバーズボン)、ヘッドランプ、スパッツ、手袋、帽子、タオル、磁石、水・お湯、食料、地図の12個です。このうち、水・お湯、食料、地図の3つは山へ行く時に準備すればよいので残りの9つを常にザックに入れておきます。着替えは下着と靴下です。防寒具兼雨具は低山の場合は夏冬兼用にします。冬は重ね着により温度調節ができるからです。ヘッドランプは懐中電灯でも良いのですが、両手が使えるのでヘッドランプの方が便利です。手袋は冬だけではなく夏でも必要です。熊笹や草が茂っている道や茨の道を歩くときに手を切るときがありますから。また、雨が降ると夏でも手が冷たいです。岩場や鎖場では手袋をすると滑りやすいので夏はしないほうが良いでしょう。ただし、冬はもちろん必要です。

私は日常生活では帽子をあまりかぶらないので、忘れないように通常装備としていつもザックの中に入れておきます。山歩きでは一日中外にいるので、帽子は冬は防寒用に、夏は日よけ用に必要です。また、雨が降った時に帽子をかぶっているとひさしで雨が顔に当たらず足元が見やすくて便利です。タオルはもちろん汗拭きのためですが、それ以外に怪我した時などにも使えますので最低でも二枚持って行きます。磁石と地図はたとえ道を良く知っているとしても必ず持って行きます。なぜなら、道が崩れて通れなくなっていたり、道標がなくなっていたりするからです。また、コースタイムからどのくらい遅れているか、何時ごろに下山できるかなどもわかるからです。山で遭難する人は、磁石と地図を持って行かなかったとか持っていても使い方を間違えた場合が多いです。

私は普通のお湯と水の他に、レモンティー、またはかんきつ類を持っていきます。レモンティー、またはかんきつ類は糖分とクエン酸で疲労回復に良いので必ず持って行きます。このことは実は小学校の遠足の時以来づっと続いています。レモンティー、またはかんきつ類は山では非常にうまくて習慣になっているのですが、それが疲労回復にいいということが最近になってわかりました。レモンティーは暖かくても冷たくても疲れたときには旨いです。旨いというのは体が必要としているからでしょう。自宅ではあまり飲まないのですが。

食料のうち昼の弁当は、日帰りであれば好きなものを持っていけばよいと思いますが、初夏から秋にかけては腐りやすいので、幕の内弁当やおにぎりより寿司の方が安心です。私は冬でも稲荷寿司を持っていきます。なぜなら、稲荷寿司は冷たくなっても美味しく食べられるからです。冬は使い捨てカイロを昼食の1時間程度前に弁当箱の裏に貼り付けておくと暖かい弁当が食べられます。また、歩きながら食べる行動食は栄養補給や疲労回復によいものを持っていきます。私はバウムクーヘンや甘食などの菓子パン、大福、乾燥芋など甘くて腹持ちが良いものを持って行きます。これらは日持ちも良いのでそのまま非常食にもなります。なお、非常食として昔からある乾パンのほかに干し柿やチョコレートなどを持っていく人がいますが、最近では災害に備えていろいろな非常食がありますので好きなものを持っていけばよいと思います。

さて、非常装備ですが、これについては第2回「野営を楽しむ」や第8回「峠の定理」などでも紹介しました。困ったことですが、非常装備を持って行かない人が非常に多いです。日帰りの集団山行ではほとんどの人が持って行かないです。リーダーでさえ持って行かないのですから困ったものです。それはおそらく、非常事態に陥った経験がないからでしょう。そういう人にいくら言ってもダメです。わかってはいるけど実行しないのですから。非常時になって死ぬ思いをするだけです。

だからと言って、放っておくわけにもいかないでしょう。そこで、これだけは持って行って欲しいと思うものを挙げておきます。それは、レスキューシートとマヨネーズと非常用の水です。通常装備の着替え、防寒具、防寒具兼雨具に加えて非常装備としてレスキューシートさえあれば冬でも凍死することはないのです。マヨネーズは主に卵と植物油と酢からできていて完全食品であり、夏でも保存が利くし、水なしでもチューブからチューチューと吸って美味しく食べられるのです。それに、木の芽や山菜にマヨネーズをつけて食べればうまいです。それと、水は必要です。水さえあれば人間一週間は生きていけるそうですから。水1リットルは常に余分に持っていくようにします。

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