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第14回 確実に遭難する方法

小学生の時に最も楽しかったのは遠足と林間学校で、最も嫌いだったのが運動会だ。運動会ではいつもびりっけつで、そもそも競争するのが嫌いだった。遠足はみんなでわいわい言いながらゆっくりと歩くので好きだった。中学に進学すると遠足という行事がなくなってしまった。そこで、一人であるいはクラスの友人と山歩きをするようになった。これが私の山歩きの事始めである。また、中学卒業の記念に友人と丹沢主脈縦走をしたのが、初めての山小屋利用による山行であった。

以来、50年以上の間、気の向くままに、山歩きを楽しんでいる。 そこで、自分が経験したことを基に、「確実に遭難する方法」について書いてみたいと思う。山で遭難したい人には役に立つと思われる。

小学校の時には遠足の前日はうれしくて眠れなかった。大人になっても久しぶりの山行だとうれしくて眠れない時がある。また、山小屋で泊まるときは大勢で雑魚寝だし、中には大きなイビキをかく人もいるので眠れない。そして、寝不足のままで朝早く起きて山を歩くと、頭がボーッとするし足に力が入らないので、道を踏み外したり滑って転んだりする。もし、運悪く、そこが岩場だったりすると転落して死ぬことがある。岩場は高い山だけではない。低い山のどこにでもある。たとえば、鎌倉の天園ハイキングコース(鎌倉アルプス)で転落して頭を打って死んだ人もいる。寝不足で山歩きをすれば時には死ぬこともあるのだ。

初めて歩くコースや久しぶりに歩くコースでは必ず道を間違える。間違えただけで迷ったわけではない。道を間違えたことに気づいたら引き返して正しい道に戻ればよいだけである。しかし、引き返しても元来た道に戻れるかどうかは疑問である。なにしろ、そこまで後ろ向きで歩いて来たわけではないので、引き返すべき道が正しいかどうかもわからなくなるからである。そして、引き返しているつもりが別の道へ行ってしまい、結局、めでたく道に迷うことになる。確実に遭難するためには、地図と磁石で現在位置の確認をしながら歩くような面倒なことはしないことである。

仲良し仲間で山へ行く場合、通常、道を知らない人は道を知っていそうな人にくっついて歩く。お互い、山では人を当てにするのが常だから、山へ行ってから道を知っている人が誰もおらず、また、地図を持って来た人もいないことがわかって、全員で仲良く遭難しかかったグループがあった。特に女性は最初から地図や磁石などを持ってこない。そのうえ、まるで、地図を読めないことが、かわいい女であるかのように振舞う。「私、方向音痴なの~」なんて言う。

ハイキングクラブなどの計画に参加する場合にも、ほとんどの女性はリーダーをあてにして地図も磁石も持って来ない。もし、リーダーが捻挫をしたり大怪我をしたりして動けなくなったら、全員が仲良く遭難することになる。よって、確実に遭難するためには、人を当てにして地図も磁石も持って行かないことである。

道に迷った時、ほとんどの人は早く下山しようとする。下ればきっと道にぶつかると信じて疑わない。道に迷った場合、100%これが遭難の原因である。山を下ると絶対に道には出ない。必ず谷にでるのである。谷に出ると必ず崖にぶつかる。よって、そこから先へは行けない。そこで、崖を回り込んで下れる道を探す。そして、下るとまた崖にぶつかる。これの繰り返しである。そのうち日が暮れ、体力を使い果たし確実に遭難する。めでたしめでたし。

よって、道に迷った時、確実に遭難したい人は谷に向かって下るのが良い。けっして、登ってはいけない。登ると必ず尾根に出てしまう。尾根伝いにさらに登れば必ず道に出てしまう。すると遭難できなくなる。なぜなら、どこの山でも頂上に向かって尾根伝いに道ができているからである。谷は水の補給に都合が良いが、見通しが悪く、暗いうえ、早く日が落ちる。それに、台風のたびに道が崩れたり、大雨が降ると鉄砲水が発生したりして危険である。そのため、通常、谷に道が作られる場合は尾根に取り付くまでの近道としてか、あるいは峠越えのためである。

山に雨具や防寒具を持って行かない人はいない。日帰りハイキングで、たとえ、天気予報で快晴であっても雨具を持っていくのは常識である。しかし、ヘッドランプや懐中電灯を持って行く人は少ない。日帰りだから必要ないと思っている。そして、帰りが遅くなると、途中で暗くなって歩けなくなる。いつも山歩きしている人でも、体調によってはペースが遅くなる場合がある。また、足をくじいて、ゆっくり歩かざるを得ない場合もある。

山で暗くなると真っ暗で何も見えない。バス停まですぐの所まで来ても真っ暗ではどうにもならない。そこでビバーク(不時露営)することになる。しかし通常、ビバークの準備をしていないので、汗をかいていても着替えもできず、着の身着のままの野宿になる。すると、汗が冷えて体温を奪う。そのうえ、雨風を避けられないし大地からの冷気で体が冷えるので、夏の低山でも低体温症になって死ぬ場合がある。よって、日帰りハイキングで遭難するには、着替えやヘッドランプをはじめビバークのための非常装備を持って行かないことである。

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