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3-15 コミュニケーション戦略(1)

通常、コミュニケーションとは意志疎通のこと、あるいはメッセージをやり取りすることです。しかし、語源であるラテン語のcommunicare(共有すること)の意味するところはもっと広い概念で、熱が伝わるとかウイルスに感染するとかの意味も含まれるらしいです。つまり、物体や生物の間で何かを伝えて共有することがコミュニケーションの本来の意味らしいです。ここでは企業と顧客あるいは消費者との間で情報を交換して共有することの意味で使うことにします。

企業から消費者に向けて伝える情報には主に企業情報と商品情報とがあり、消費者から企業に向けて伝える情報には主に欲求や要求があります。ちなみに、消費者ニーズは「何かに対する欠乏状態」のことですから、消費者にも分からない場合が多いのです。よって、企業に伝えようとしても伝えることは難しいです。

企業が企業情報や商品情報を消費者に伝えるにはいろいろな手段・方法があります。また、消費者から企業に伝えるにもいろいろな手段・方法があります。これらについて、順次検討していきたいと思います。多くの場合は、企業から消費者に情報を伝えて、消費者がそれに反応するという形を取ります。よって、企業から消費者への情報伝達の手段・方法とそれに対する消費者の反応について検討してみたいと思います。

そこでまず、企業から消費者に情報を伝えるいろいろな手段・方法(媒体)の特徴について検討することにします。

広告
新聞広くカバーでき、掲載直前の内容の変更など柔軟性が高いが、視覚だけによる訴求であり、メッセージが短命である。
雑誌セグメント(絞り込み)が可能で、多くの情報を提供できる。しかもメッセージが長命である。その反面、視覚だけによる訴求であり、柔軟性が低い。
ラジオ低コストでセグメントが可能であるが、音のみでメッセージが短命である。
テレビ広くカバーでき、広くリーチできる。映像、音、動きを伴うことができる。しかし、セグメントしにくく、高コストであり、メッセージが短命である。
折り込み地域に限定したセグメントが可能であるが、価格競争を招きやすい。
DM個人別セグメントが可能であり、多くの情報を提供できる。しかし、開封率が低く比較的割高である。
屋外反復率、注目率ともに高い。その反面、特定の地域に限定される。
中吊り、駅張り反復率、注目率ともに高いが、特定地域の通勤、通学客に限定される。
POP商品と商品情報の提供を同時にできるので、訴求効果が高い。しかし、見込み客が来店してくれなくては訴求できない。
電話帳消費者から見ると、特定の商品・サービスを購買したり、店舗を探したりする場合に便利であるが、計画的な購買・利用に限定される。
展示・映像展示会などのイベントや映画広告などはセグメントが可能であるが、同時に特定の時期や場所に限られる。
インターネット広くカバーでき広くリーチできる。また、多くの情報を提供できるし、低コストである。しかし、検索して上位に掲載されないと見てもらえない。また、インターネットを利用している人の計画的な購買・利用に限られる。
CATV・衛星放送・文字放送テレビの特徴に加えて、特定の見込み客に限られる。
ノベルティマッチ、カレンダー、手帳などに掲載される広告は、反復率、注目率ともに高いが、これらを利用する見込み客に限られる。

SP(セールス・プロモーション)
サンプル
(試供品)
競合品との差別化を図り、便益を知ってもらうために実物を提供する。よって、確実に訴求できるが、コスト高となる。
クーポン特定の商品の値引きを約束した証券なので、特定の商品を購入した場合に値引きする。クーポンをもっていない顧客には値引きしないので、計画購買客、再購買客に対して訴求効果がある。
プレミアム
(おまけ)
いわゆる「おとり」である。おまけを欲しがる顧客に訴求して商品を購入してもらう。商品価格に比較しておまけの価格が高い場合、景品表示法違反となる。
増量パック通常より増量することにより、定期購入者のブランドスイッチ(他の商品に変更)を防止したり、逆に他の商品からブランドスイッチしてもらう。
特別出荷流通業者向けSPで、注文量より多く出荷する。
アロウワンス
(見返り)
流通業者がメーカーや卸売業者の希望に沿った広告、陳列などを行った場合に金銭的見返りを提供する。
価格引き下げ小売業者によるSPで、商品単位の値引きと一定量以上購入した場合の割引のことである。最寄品の場合、客寄せ効果があり、薄利多売による売り上げ・利益の増大を狙ったものであるが、ブランド価値が低下する。
ポイント付与主に家電や高額商品に用いられる。実質的な価格引き下げであるが、特定の商品だけでなく、ほかの商品についてもポイントを付与することから、ブランド価値の低下にはならない。また、ポイントを他の商品を購入する際にも利用できることから、上記の価格引き下げより効果がある。さらに、ポイントカードを作成する際に顧客情報を取得でき、また、商品を購入する際に購買情報を取得できることから、売れ筋・死筋商品の購買動向を知ることができる。
特別陳列特設棚に大量に陳列することである。値引きをしなくても大量に陳列することにより、引き付け効果がある。

人的販売
オーダーゲッター新規顧客の開拓を行う販売員である。
オーダーテイカー既存顧客の維持と強化が目的の販売員である。
ミショナリー・セールスパーソン顧客支援や販売支援を目的とする販売員である。

口コミ
初期採用者新商品や高額商品の場合、初期採用(購入)者はオピニオンリーダーとして口コミで宣伝してくれる。この効果は大きい。なぜ初期採用者が口コミ宣伝してくれるかというと、購入したことが失敗ではなかったこと再確認するためである。
前期大衆採用者市場全体の約半数の採用(購入)者は、まだ購入していない人たちに対して口コミ宣伝をしてくれる。購入したことが失敗ではなかったことを確信するためである。

パブリシティ
広報活動パブリシティは、企業が行う広告とは異なり、報道機関(メディア)が企業情報、商品情報を報道することである。このため、1)報道するかしないかは報道機関が決める、2)原則無料である、3)客観的である、という特徴がある。このため好意的な情報を報道してもらえるように企業が報道機関に対して直接働きかける広報活動を行う。
社会貢献活動報道機関に直接働きかけるのではなく、各種の社会貢献活動を行うことによって、報道機関に好意的な情報を報道してもらえる機会を作る。

パッケージ
箱、ビンなどの入れ物美しい、可愛い箱や味わいのあるビンなどは中身の商品よりも消費者は欲しがるもので、訴求効果がある。
包み紙、紙袋等有名店の包み紙や紙袋等を欲しがる人もいる。商品を取り出した後も包み紙や紙袋を使用したりする。

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