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2-2 経営者に関する成功要因

経営者に関する成功要因は、経営者の経営能力・技術・考え方・性格などに関することです。起業して経営者となっても経営能力や技術が不十分であったり、経営者としての考え方や性格が悪かったりすれば事業を成功させるのは難しいのです。しかし、企業家(革新者)になるわけではないので、それほど難しいことではありません。一人でできないことは人に手伝ってもらえばよいのです。つまり、チームで経営すればよいのです。

事業を成功させるのに必要な経営者の経営能力・技術・考え方・性格は、

  1. 事業の経営実態を把握する能力。つまり、簿記会計および企業診断能力。
  2. 事業の経営環境の分析による経営戦略立案能力および事業の将来予測能力。
  3. 人材の管理能力。人の掌握および動機付け能力。
  4. マーケティング能力(顧客創造能力)、取扱商品・サービスの価値を高める技術。顧客のニーズを把握し、ニーズに合った商品・サービスを開発する技術。
  5. メーカーの場合は、生産技術およびコスト削減・品質向上・納期短縮などの生産管理技術。
  6. 世のため人のために事業を行うことが、結局、企業のためにもなるという考え方ができること。また、そういう行動がとれること。これが日本では必要な考え方・行動です。ちなみに、日本人はドラッカーが大好きで、ドラッカーの本がよく読まれていますが、欧米ではあまり読まれておりません。その理由は、ドラッカーの本には、「企業の目的は世のため、人のためになることである」と書かれているからです。その一方で、多くの欧米の経営者は、「企業の目的は利潤の追求にある。企業の目的は儲けることである」と考えています。そして、当然ですが、経営学の教科書もいかに儲けるかについて書かれているのです。したがって、ほとんどの経営学の教科書にはドラッカーの考え方は書かれていません。
  7. 人に好かれる性格であること。このためには、人の話をよく聞いて人の役に立つ努力をすることです。顧客、取引先に対してだけでなく、他の経営者・役員、あるいは従業員などに対しても同じようにできることです。そして、見返りを求めないことです。ギブ&テイクの考え方ではなく、双方が利益になるウイン&ウインの関係を築くことです。

経営者としての能力が不十分な人は、人に手伝ってもらえば良いと最初に書きましたが、適した人がいない場合には、企業外部にアウトソーシング(外注)することもできるわけです。たとえば、税理士に依頼する、協力工場に依頼する、フランチャイズチェーンに加盟する、下請けになるなどですが、いずれも自社でできないことを企業外部に実施してもらうことです。したがって、メリットもありますが、それだけリスクをかかえることになります。この点を十分に理解したうえで外部を活用するようにします。

税理士に依頼する場合に知っておくことは、税理士は会計と税務の専門家であって、経営の専門家ではないことです。税理士試験では経営に関する試験科目はありません。よって、企業診断ができると言っても財務診断だけであり、経営戦略、組織、生産や販売、人事などの診断はできないのです。また、経営環境の分析に基づく経営戦略の立案、事業の将来予測などもできません。したがって、税理士だけを頼っていると企業の成功は難しいです。

協力工場に依頼するのは通常、自社に専門技術がない、自社で実施するよりもコストが安い、生産量の変動に対応するなどのためですが、それだけ納期が長くなる、コストが変動する、品質が安定しないなどのリスクがあります。従って、これらのリスクを踏まえて管理できるようにしておく必要があります。

フランチャイズチェーンに加盟することは、経営の根幹部分のほとんどを本部が実施することになるので、店舗の経営者になるというよりも従業員になるのと同じです。名前だけの経営者と考えた方がいいです。しかも、通常、一旦始めたら簡単にはやめられません。したがって、本部との契約内容をしっかりと把握すると同時に、他の加盟店をいくつか訪ねて実態をよく知ってから契約する必要があります。

下請けになるのは通常、技術力はあるがマーケティング能力や商品・サービスの開発能力がない場合です。また、経営戦略立案能力や事業の将来予測の能力もない場合です。したがって、親企業の言いなりになってしまうし、いつまでも下請けに甘んじていると事業の成功はありません。

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