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1-2 発明・開発ができる人とできない人

発明や開発ができる人とできない人とがいます。発明や開発ができる人は考えることが好きで覚えることが嫌いな人だと思います。一方、発明や開発ができない人は考えることが嫌いで覚えることが好きな人でしょう。勉強ばかりしていた人は発明や開発は苦手のようです。むしろ、子供の頃からあまり勉強しないで、工夫して遊んだり、人を笑わせたりしている人はいつも考えている人ですから、考えるのが好きな人なのです。あなたはどちらですか?考えるのが好きですかそれとも覚えるのが好きですか?

学校の勉強というのはたいてい教科書に書いてあることを理解して覚えることが中心になるので、子供の頃から勉強ばかりしていた人はあまり考えることがなかったと思います。筆者の経験では、勉強というのは80%以上が理解して覚えることで、考えることは20%以下です。中には理解すら必要がなく単に丸暗記するだけというものもありました。入学試験はもちろん、資格試験のための受験勉強などもほとんどがそうです。要するに、過去の人が考えたことを理解して覚えるだけです。別の言い方をすれば、既に答えが存在している問題を解いて答えを出すだけです。これほどつまらないものはありません。

一方、発明や開発は答えが存在していない課題に対して答えを出すことです。このためには知識だけではなく知恵(アイデア)が必要なのです。勉強や学習の習慣が大人になっても続いている人は、あまり知恵(アイデア)を出す訓練をすることなく今日まで過ごしてきた人ですから発明や開発は苦手なのです。逆に、子供の頃から勉強をあまりせずに、いろいろと工夫して遊んだり、人を笑わせたり、あるいは人が思いつかないようないたずらをしたり、また、大人になってもあまり勉強をしないで、いつも何かについて考えている人は発明や開発ができると思います。

最近のDNAの研究で、生まれつき開発能力を持っている人と持っていない人がいるということが分かってきました。生まれつき開発能力を持っている人は、考えることや知恵(アイデア)を出すことが元々好きな人です。しかし、たとえ生まれつき開発能力を持っていても訓練をしなければダメです。また、生まれつき開発能力を持っていない人でも訓練すれば開発できるようになります。なぜなら、DNAが及ぼす影響は数パーセントにすぎないことが分かっているからです。しかも、人間は本来、本能的に考える生き物なのです。なぜなら、生きるためには創意工夫しなければならないからです。そのように脳ができているのです。よって、訓練すれば良いのです。

通常、考えるという習慣や訓練は学校でも家庭でもあまり行われていないと思います。受験勉強や成績重視の弊害でしょう。学生時代は勉強しろ勉強しろ、覚えろ覚えろと言われ、社会人になると、考えろ、考えろ、知恵(アイデア)を出せと言われます。しかし、学生時代に訓練を受けていないのに知恵が出るわけがありません。しかも、会社でも知恵を出す訓練をしていないのです。

子供のころに遊び方を工夫したり遊び道具を自分で作ったりして遊んでいた人は、知恵を出す訓練ができているわけです。実は、現在60歳以上の人で子供のころ貧乏だった人はほとんが発明や開発ができます。なぜなら、当時、遊びといえば、まず身近にあるものを工夫して遊んだからです。例えば、石蹴り、缶けり、縄跳び、チャンバラごっこ、おままごとなどです。二つ目は、自然の中での遊びです。鬼ごっこ、かくれんぼ、木登り、釣り、昆虫採集などです。また、小鳥やカブトムシ、鈴虫などを捕まえて飼う、などです。三つ目は、身近にあるもので遊び道具を作って遊ぶことです。例えば、竹とんぼ、竹馬、水鉄砲、杉鉄砲、紙鉄砲、弓矢、どんぐりゴマ、お手玉、照る照る坊主、お人形さんごっこなどです。このような遊びには工夫が必要です。ですから、知恵を出す訓練が自然にできたのです。

一方、昔でも親からこずかいをたくさんもらっている子供たちは、おもちゃ屋などで遊び道具を買って遊んでいたのです。よって、知恵を出す訓練をあまりしていません。例えば、めんこ、こま、凧、ビー玉、羽子板と羽、おはじき、などを買って遊んでいたのです。特に、金持ちの家の子供たちは、比較的高価な遊び道具を買って遊んでいました。漫画、プラモデル、鉄道模型、着せ替え人形などです。漫画はどうしても続きが読みたくなるので、継続して買うことになり、結局、高価な遊び道具になるのです。実際に、漫画を買えるのは金持ちの子供たちでした。

筆者が子供のころの遊びについて書きましたが、単に遊びを紹介するのが目的ではもちろんありません。遊びを通じて子供のころに創意工夫の習慣をつけたかどうかが重要なのです。もう一つ重要なことは、金持ちの子供のように遊び道具を買って遊ぶ子供は創意工夫をする習慣が身につかないだけでなく、物づくりの楽しさを知ることもないのです。さらにまた、一人で遊ぶことが多くなり、結局、友達もできないということです。つまり、人の考えや気持ちも分からないということです。けんかすることもなければ、親友をつくることもないわけです。

現在の子供たちのほとんどは大人が作った遊び道具を買って遊んでいます。そのため、昔の金持ちの子供と同じで創意工夫はしないし、一人で遊んでいて人と遊ぶこともあまりないのです。実は、子供だけでなく現在の大人も昔の金持ちの子供と同じなのです。何でも必要なものは買ってしまうし、隣の人と付き合うことなく生活しているのです。親子して創意工夫の習慣もなく、また、人の考えや気持ちも分からないのですから発明ができないのは当然です。つまり、顧客ニーズも分からないし商品開発もできないということです。

かつて、日本が驚異的な高度経済成長を遂げたのは、子供のころに創意工夫をして遊んだことがある人たちが大勢いたからだと思います。以前放映していたテレビ番組の「プロジェクトX」で活躍した人たちは、例外なく子供のころに創始工夫しながら遊んだ経験がある人たちなのです。早い話が、子供のころ貧乏人だった人たちなのです。

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