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第84回 景気が悪くなってもそんなの関係ねぇ!
(2008年9月27日)

景気が良くても悪くても、同じ業界であれば、あるいは同じ国であればどの企業にとっても同じである。同じように景気が良く、同じように景気が悪いのだ。企業は景気と戦っているわけではない。企業は競合他社と戦っているのである。

景気が良くても悪くても企業がやるべきことは同じである。やるべきことをやっていない企業は景気が悪くなると青い顔をする。そして、声高に業績が悪いのを景気のせいにする。しかし、このような企業は景気が良くても業績は悪い。要するに、景気が良くても悪くても同じなのである。景気が悪くなると、業績が悪いことの言い訳ができるということである。

やるべきことをやっていない企業は景気が悪くなると、売上が落ちて資金繰りができなくなり倒産する可能性が高くなる。だから、青い顔をする。しかし、それは自分のせいではない、景気が悪いせいだ と経営者は言う。逆に、景気が良くて売上が確保できて資金繰りができれば、たとえ業績が悪くても企業は倒産しない。だから、景気の良い時にはやるべきことをやらない。

その一方で、常日ごろからやるべきことをやっている企業にとっては、景気が悪くなっても「そんなの関係ねぇ!」である。いや、むしろチャンスなのである。なぜなら、競合他社が市場から撤退して競争相手が少なくなるからである。その上、それまでやってきたことの効果がより明確になるからである。

さて、最近、原油高、原料高でいろいろな企業の業績が悪化している。しかし、これは今始まったことではない。すでに、十数年前から少しずつ高くなっているのである。そもそも、原油は限りある資源だから、使えばなくなるものである。それにもかかわらず、中国など経済発展が著しい国で原油を大量に使用するようになったのだから、原油の値段が上がるのは当然である。供給より需要の方が多いのだ。その上、地球温暖化の原因が原油などの化石燃料の使用にあるとなれば、原油をあまり使わないようにコントロールするので原油の値段がますます上がるのである。また、石油を燃料にしたり、原料にして作られる商品やサービスも同じようにコストや価格が上がるのは当然である。

それにもかかわらず、この十数年の間、何も対策してこなかった企業が最近の急激な原油高であわてているのを見ると、イソップ童話のアリとキリギリスの寓話を思い出す。あるいは、ゆで蛙の話を思い出す。ゆで蛙の話は有名だが、ご存じない方のために説明すると、蛙を水が入っている鍋に入れて火にかけておくと蛙がゆであがるという話である。蛙はいつでも鍋から飛び出すことができるのだが、少しずつ鍋の水が温まっていくので、次第に体から力が抜けていき、飛び出す力を失って、そのうちゆだって死んでしまうという話である。

最近の原油高で、商売が成り立たないと政府に泣きつく事業者連中を見ると、甘えるなと言いたくなる。政府に泣きつくということは、税金で何とかしてくれということだから国民に泣きついているのと同じである。何も対策してこなかったにもかかわらず、政府に泣きついてもそうは問屋がおろさない。政府もそれほど馬鹿ではない。やるべきことをやった企業にだけ補助をするというのが政府の方針である。税金を使って補助をするのだから当然である。

では、やるべきこととは何であるか。それは、コスト削減や省エネ、商品・サービスの開発、新市場開拓などである。まともな企業は常にやるべきことをやっている。なぜなら、消費者ニーズが常に変化し、高度化し、競争がより厳しくなっているためである。消費者のニーズに応えられなければ企業は生き残れない。原油高、燃料高、材料高だからといって、価格を上げた企業は売上が確実に落ちる。価格を据え置いた企業は生き残る。その一方で、こういうときこそチャンスとばかり、価格を下げた企業はよりいっそう売上が伸び、利益も増える。当然である。

どうしてもダメなら、商売換えするしかない。 それも早い方がよい。遅くなればなるほど難しくなる。ゆで蛙にならないうちに鍋から早く飛び出すのである。大企業でも事業が成り立たないとなれば早めに撤退する。商売換えや現在の事業から撤退し新事業に取り組むのは前進であるから恥ずかしいことではない。儲からない商売や事業にしがみついている方が恥ずかしい。そのうち、にっちもさっちも行かなくなってしまう。

たとえば、少子高齢化で、建築業や不動産業の売上がひところの半分近くに落ち込んでいる。しかし、業者は数パーセントしか減っていない。また、消費者が近海魚を食べなくなったため近海魚の漁獲高が大幅に落ち込んでいる。しかも、外国から安い魚を大量に輸入している。それでも、漁業者はあまり減っていない。さらにまた、トラック輸送も燃料をあまり使わない鉄道輸送に変わっている。それでもトラック輸送業者の数はあまり変わっていない。要するに過当競争が激しくなっているのである。儲からないのは当然である。

最初に書いたように、企業は景気と戦っているのではない。競合他社と戦っているのである。競合他社に勝ちたいのならコスト削減や省エネ、商品・サービスの開発、あるいは新市場開拓しかないのである。そのためには創意工夫しかない。つまり、知恵(アイデア)を出すしかないのである。そして、どうしても勝てないのなら、商売換えや新事業に取り組むしかない。

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