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4-2 契約の見直しによる削減

1.電気・ガス・水道・保険料などの場合

経費削減のポイントの1つ目は契約の見直しです。経費のほとんどは企業外部に支払う費用ですから、企業外部の会社との契約によって支払い条件が決められます。したがって、この契約を見直すことによって、経費削減が可能になるわけです。支払い料金は通常、固定費と変動費とに分かれています。固定費部分は契約によって決められます。変動費部分は使用量によって決められます。したがって、まずはこの固定費部分を見直すわけです。

分かりやすい例で言えば、電気料金のうち基本料金は使用量に関係なく支払う固定費ですから、契約が現在の使用実態(消費電力)に適しているかどうかを見直すのです。つまり、消費電力がそれほど多くないのに、多くの基本料金を払っていないかどうかを見直すわけです。

一般家庭(100V)を例に分かりやすく説明すると、契約は使用電流(アンペア数)で決められていますので、これを見直しするわけです。契約電流より使用電流が多くなるとブレーカーが落ちて電気が切れるようになっていますが、多くの家庭では、ブレーカーが落ちないように多めに契約している場合が多いです。

所有している家電製品の消費電力がそれぞれ何ワットかを調べ、一度に使う製品の消費電力を加算すれば、最大の消費電力が分かります。ちなみに、電力はワット、電圧はボルト、電流はアンペアで表し、ワット(W)=ボルト(V)×アンペア(A)ですので、最大の消費電力(ワット数)を100ボルトで割ればアンペア数が分かります。

商店(低圧200V)や工場(高圧6,000V)などの場合には、年間の最大需要電力量が500KW以下の場合は実量制契約、500KW以上の場合は大口電力契約となり、これによって基本料金の計算方法が異なります。

例えば、契約時に大口電力契約(500KW以上)としていたが、実態は500KW以下だった場合には、契約を実量制契約に変更することによって基本料金を削減できます。さらにまた、実量制契約の場合には、年間の最大消費電力量(30分間ごとに計量する)によって当年および翌年の基本料金が決まります。

例えば、夏のある日の30分間に一年で最も多く電力を使い、それが450KWだったとすると、450KWを基に当年および翌年の年間の基本料金が決まってしまいます。よって、夏のある日の30分間だけ下げる努力をすれば、年間の最大消費電力量を下げることになるので、基本料金を削減することができます。

参考までに、東京電力のホームページのQ&Aには次のように書かれています。

Q:
1年間で最も大きい最大需要電力を契約電力とするのはなぜ?
A:
電気をお送りするための供給設備は、お客さまが年間で最も多くご使用いただく量に合わせ準備する必要があります。そのため、電気のご契約は1年間の最大需要電力を基準として決定しております。この考え方は、実量値による契約電力決定方法以外にも、一定値以上の電流が流れるとスイッチが切れるご家庭用のアンペアブレーカー契約や、契約電力500KW以上のお客さまが年間の最大需要電力をもとに契約電力を決定する方法など、他の契約方法に共通しているものです。

また、使用実態とは異なっていても、契約によっては安くなる場合があります。例えば、商店だからといって、商業施設向けの契約(200V低圧契約)にしていた企業が、工場向けの契約(6000V高圧契約)に切り替えたら数十億円も削減できたという事例もあるようです。この他、長期契約か短期契約か、とか、夜間に多く使用するか、昼間に多く使用するか、とか、夏に多く使用するか冬に多く使用するか、とか、平日に多く使用するか休日に多く使用するか、などによっても契約内容が異なります。

電力の契約にはこのようにいろいろな種類があるのです。なぜなら、電力会社は電力需要の平準化をしたいからです。電力会社にとって最も困るのは、電力需要が季節、曜日、時間などのある一時期に集中してしまうことです。したがって、使用量が少なくても、大量使用契約に変更したり、需要が一時期に集中している場合に、需要が少ない時期に使用するような契約に変更すると安くなることがあるのです。

商店や工場では契約内容が良く分からないとか、契約事項を理解するのが面倒だとかでそのままになっている場合が多いようです。また、電気を作るための燃料費の変動やサービス内容の変更などによっても変わりますので、契約を定期的に見直しする必要があります。契約の見直しによる削減は電気料金だけでなく、ガス料金、水道料金、保険料など契約によって決まる全ての経費について当てはまりますので、いろいろな経費について面倒がらずに見直ししてください。

2.保険料の場合

保険料の場合、特に注意すべきことを説明したいと思います。最も重要なことを先に書きますと、国や地方自治体、または共済組合等で行っている保険事業については営利目的ではなく、保険本来の目的である相互扶助のために行っているのであまり問題ないのですが、民間の保険会社の場合には営利目的ですので、契約する時には十分に注意しなければいけません。

保険の機能は本来、マイナス事項の補償ですので掛け捨てが本来の姿です。貯金が含まれている保険契約は損だと考えた方が良いでしょう。保険会社は保険と貯金とを一緒にすることによって利益を捻出しているのです。保険は掛け捨てにして、貯金は貯金で別に行った方が良いのです。その他、保険契約する場合の注意事項を書いてみようと思います。

保険契約をする場合に、契約書である「保険約款」をきちんと読む人はほとんどいません。保険約款は保険会社が一方的に決めたものであり、当然、保険会社の都合の良いように書かれています。また、小さな文字でびっしりと書かれており、その上、難しい専門用語で書かれていますので、素人が読んでも良く分からないようになっています。

具体的な例を挙げましょう。ケガは傷害保険、病気は生命保険ですが、通常の保険約款ではケガを治療するのは外科で病気を治療するのは内科ということになっています。したがって、もし、生命保険に入っていて、ガンや心筋梗塞で入院し手術した場合には保険金はほとんど支払われません。なぜなら、ガンや心筋梗塞はケガではなく病気ですから、外科手術を受けても保険の対象にはならないからです。薬による治療、すなわち内科的な治療だけが保険の対象になるのです。

また、これは良く知られていることですが、入院してから3日間あるいは4日間は保険金は支払われない場合が多いです。通常は4日目あるいは5日目からです。したがって、もし、心筋梗塞などで緊急入院した場合に最初の3日間ぐらいで主な治療が終了してしまうので、最も治療費が高い部分が保険の対象にならないわけです。

保険会社もなんとか儲けようと必死です。あの手この手で保険約款を作って契約させようとします。もちろん、違法行為はダメですが、時々、当局に指導を受けたり、業務停止を食らったりしています。実は保険会社も儲けるためにはたいへんなのです。保険料を安くして保険金を高くしなければ契約してもらえないからです。しかし、契約さえしてしまえば保険会社の思う壺です。保険約款を読む人はほとんどいないのですから。

保険会社が最も儲かるのは景気が悪い時です。なぜなら、中途解約する人が多くなるからです。また、保険金を申請したらもらえなかったという経験のある人が中途解約するのです。中途解約すると保険会社が儲かるようになっています。ですから、中途解約しないように、契約する時には保険約款をよく読まなければなりません。良く分からない時には保険会社に良く聞いて確かめることです。保険約款は契約書であり、保険会社はきちんと説明しなければならない義務がありますから。

保険会社はもし万一保険金の支払いが増大しても、会社が倒産しないように、他の保険会社に保険をかけています。つまり、再保険をかけています。さらに再保険をかけられた保険会社は、また他の保険会社に再々保険をかけています。

このようして、保険会社は協力し合って、お互いに保険をかけてリスクを分散しています。ですから、保険会社が倒産することはありません。もし万一、保険会社が倒産するようなことがあれば、多くの保険会社が同時に倒産することになりますから、そうならないように今度は政府が支援(税金で救済)します。ですから保険会社が倒産することはありません。

以上お分かりのように、民間の保険会社と契約するときには保険約款をよく読んでから契約してください。知らなかったと言っても後の祭りで通用しません。

基本的には通常の傷害保険や生命保険であれば、民間の保険は必要ないと思います。国や公共団体、共済組合などの保険で十分なはずです。例えば、国民健康保険に入っていれば、たとえ1ヶ月に数百万円も治療費がかかったとしても「高額療養費制度」がありますから、1ヶ月8万円程度の出費で済みます。

また、中小企業の場合には、小規模企業共済、倒産防止共済、中小企業退職金共済など国が行っている保険がいろいろありますから、それらを利用することもできます。

したがって、特殊な場合に民間の保険を利用すれば良いと思います。いずれにしても保険の見直しを行って経費削減をしてください。

3.コピー機など設備のリース料の場合

設備のリース契約をレンタル契約に切り替えたらかなり削減できたという話を聞きます。リースの場合は通常、設備の耐用年数が契約期間となるため長期契約となるので簡単に途中で契約解除することができません。契約解除する場合には残りのリース料を全額支払わなければなりません。

そのため、技術の向上によって、より良い設備がより安く手に入るにもかかわらず、古い設備を使い続けなければならないことになってしまいます。ですから、最初からレンタル契約にした方が良いのです。レンタルであれば短期契約ですし、いつでも解約することができます。このため、結果的には安くなるのです。

4.その他の経費の場合

例えば、通信費は通信業者の過当競争が激化しているため、契約内容がころころと変わり、その時に最も良いと思っても、すぐにより良い契約内容の業者が現れます。したがって、どの業者と契約した方が良いかとか、契約内容を見直しするよりも、業務そのものを見直して業務を効率化した方が通信費の削減になります。その他の経費についても同様で業務の見直しをしたほうが良いのです。

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