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3-6 比較差異分析による削減

比較差異分析には主に時系列比較と他社比較とがあります。時系列比較は、費目別に毎月の消費量をグラフ化(見える化)しその差異原因を追究することです。そして、対策することによって経費を削減するわけです。例えば、今月は先月より水道料金が多くかかっており、その原因を調べたら水道管から水漏れしていたためだとします。そこですぐに修理する、といったことです。

保険料など毎月一定額を支払う固定経費を除いて、毎月変動する全ての経費についてこれを行うと実質的な経費削減だけでなく、従業員に経費削減の意識を醸成することができますので、お勧めです。もちろん、経費の月別グラフは従業員全員が見ることができる食堂などに掲載しておきます。つまり、「見える化」することが大切です。

この場合に重要なのはムダかムダでないかの判断です。コンサルティング経験からするとその判断は従業員に任せた方が賢明です。なぜなら、会社があまり経費削減をしつこく追求すると従業員の労働意欲を損ない、かえって逆効果となるからです。

会社が強力に経費削減を推進するのは、業績が悪くなって赤字になった時だけの時限措置として行います。赤字が解消したら元に戻すべきなのです。通常は、小集団活動などで従業員が自らルールを決め経費削減するようにした方がよいのです。これによって、従業員のコストマインドが醸成されるからです。ただし、経費削減の重要性を定期的に従業員に伝え、注意喚起することだけは怠らないようにしなければいけません。このためには、小集団活動などで定期的に経費削減事例発表会などを開催することです。

もう一つの比較分析が他社比較です。同業他社や類似業種の他社と比較してその差異原因を調べて対策するわけです。もちろん、消費量や金額で比較してもあまり意味がありません。規模も経営資源も異なるわけですから、同業だからと言って同じような消費量や金額になるわけではありません。では何を比較するのかと言うと、割合(%)を比較するのです。製造原価や販売費、一般管理費に占める費目別経費の割合です。

同業他社と比較して、我が社はなぜ◯◯費の割合が高いのか、他社は3%なのに我が社は5%も使っている。なぜなのだろうか?といった具合です。その原因を徹底的に調べて対策するのです。政府がいろいろな統計資料を毎年出版していますので、それらを活用します。たとえば、中小企業の場合には、『中小企業の経営指標』と『中小企業の原価指標』が良く利用されています。

こういった比較分析は、実はコスト削減の基本であり、コスト削減を行うには必ず比較分析を行います。もちろん、経費だけではありません。材料費も労務費も同じです。また、原因追求する場合でも、比較分析が欠かせません。いろいろな視点で比較して、その原因を追究するわけです。例えば、トヨタの改善の方法の一つに「5なぜ」というのがあります。5回なぜを繰り返し、原因を追究する方法です。要するに、徹底的に「原因」や「違い」を調べることが重要なのです。

したがって、比較分析を行っていない企業では、コスト削減をやる気のない企業であり、要するに儲けようとしていない企業なのです。儲けようとしていない企業にどんなことを提案してもムダなので、筆者はコスト削減のコンサルティングを行う場合には比較分析を行っているかどうかをまず聞きます。

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