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3-4 使用していないのに消費している場合の削減

これは誰が考えてもムダです。例えば、明るいにもかかわらず点灯している窓際の蛍光灯、昼休みに点灯している蛍光灯などです。これはどの会社でも注意しているようですが、薄暗い日でもルールだからと消している会社もあります。一律にルールを適用するのは逆効果です。従業員のやる気をなくす原因となりますので、あくまで誰が考えてもムダな消費を削減します。

最近では、両面コピーできるコピー機が普及していますので、社内文書は両面使うようにします。両面使用できるのに片面は使用していないのですから、ムダです。これをミミッチイと考える人たちもいます。しかし、コピー用紙代は馬鹿になりません。こういう人たちには実際にどのくらいの経費削減になるかを数字で示すことです。また、両面コピーすることにより、むやみやたらにコピーすることがなくなり、コピー回数も減ってきます。

ただし、一旦、表(おもて)面にコピーしたものを再利用のため裏面にコピーするのは止めた方がいいです。表(おもて)面にいちいち☓印をつけたり、ホチキスの針をはずしたり、また、針をはずすのを忘れて裏面をコピーしてしまい針がコピー機を傷つけ修理が必要になったりと、かえってコストがかかってしまいます。

当然ですが、コピーしないのが一番いいのです。できるだけ電子文書のままで閲覧したり、配布(送信)したりして、なるべく社内ではペーパーレスを実施するわけです。外部に渡す分だけを印刷・コピーするわけです。

他の例では、待機電力、待機予熱、流出(ドレイン)、漏れ(リーク)などがあります。待機電力は家庭でも最近注意する人が増えているようですが、商店では集客のためと言って営業開始時間の1時間も前から店の蛍光灯を全て点灯しておくことがあります。この場合は外から見える部分だけにするようにします。ちなみに、ユニクロでは開店5分前に点灯することになっているそうです。また、工場では機械設備がきちんと動くかどうかをチェックするために、早めにスイッチを入れることがあります。待機電力によるムダは大きいですから使用開始の直前にスイッチを入れるようにします。そして、定期的に点検して故障しないようにします。

待機予熱というのは予め熱を加えておくことによって、始動時間が短くなる炉などの場合ですが、午後使うのに朝から予熱しておくとか、24時間予熱したままにするというムダです。これも待機電力と同じことなので使用する直前に火を入れるとかこまめに火を落とすようにします。

流出(ドレイン)や漏れ(リーク)は、水、ガス、油などの流体(液体と気体)に主に発生しますので、水道管、ガス管、油送管、タンクなどの亀裂、ジョイント部分やバルブの閉まり具合などの点検をしっかりと行うようにします。水道局が水漏れのチェックを常時行っていますが、これと同じです。この他にいわゆる、つけっぱなし、出しっぱなしなどのムダがあります。

ムダな消費の削減は教育(しつけ)の問題ですので、定期的に注意喚起するようにします。なお、油(燃料)は流通業やサービスでは経費、製造業では材料費ですが削減ポイントは同じですのでここで取り上げました。

さて、常識で考えて、少なくとも熱を必要としないにもかかわらず熱が発生する場合は誰が考えてもムダですので、これを改善します。 分かりやすい身近な例で言えば、同じ明るさの白熱電球と蛍光灯とを比較すると、蛍光灯ではほとんど熱が発生しませんが白熱電球では熱が発生します。この熱は必要のないものですからこの熱のために消費された電気がムダになります。よって、特殊な場合を除いて白熱電球は使わないです。

会社や工場では電気を使用する機械設備や事務機器はたくさんありますので、熱があまり発生しないものを使うとか、熱の発生をできるだけ抑える工夫をします。例えば、簡単な例では、風通しの良い場所に設置するとか、壁から十分に離して設置するとか、「すのこ」の上に置くとかです。よく事務所の壁や柱のそばにコピー機を置いている会社がありますが、これではムダな電気を使っているわけです。また、最近では、蛍光灯よりもLEDの方が電気から光への変換効率がはるかに良いので、次第に蛍光灯は使われなくなりLEDに変わると思います。

直接的な経費削減ではないですが、業務の見直しを行うことにより経費削減につながる場合が多いです。例えば、福利厚生費は従業員の福利厚生のための施設費などですが、従業員がほとんど利用していない施設があったりしますので、本当に役に立っているのか見直しすると削減できます。また、旅費交通費や通信費なども業務に伴って発生しますから、業務内容を見直しすることによって削減が可能となります。さらに、どの会社でも多いのが会議と書類ですが、これらに伴う経費もかなりあります。会議も書類も業務の見直しによる削減効果が大きいです。


<石油会社の油の流出事故の事例>

石油会社にとって油は商品であって、経費でもなく、材料費でもないのです。だいぶ昔の話ですが、一部上場のある石油会社が油の流出事故を起こし、海を汚し、新聞・テレビ等で大々的に取り上げられ、たいへんな社会問題になったことがありました。原因はタンクの亀裂でした。タンクがわずかに亀裂していることに気づかず、小さな地震が起こった時に亀裂が大きくなって油が流失してしまったのです。通常、石油タンクは輸送の関係で海の近くに作られますので、流出した油が海に流れ出してしまったのです。

この事故があってから、この会社からコンサルティング依頼を受けました。二度とこのような事故が起こらないように業務の見直しを行い対策することになりました。社長からコンサルティングを依頼されたのですが、役員および部課長たちは、「もう二度とあのような事故は起こさないから、コンサルティングは必要ない」と言って、私たちコンサルタントに「帰れ!帰れ!」と何度も言いました。そして、業務実態の調査を拒否しました。

私たちコンサルタントはそれにもめげず、事故の本当の原因を探ることにしました。まず、社長からの依頼であるから協力して欲しいと従業員に言い、プロジェクトチームを作りました。従業員の中には、積極的に原因究明に協力してくれる人もいました。後で分かったことですが、原因を究明しようとしない役員や部課長たちに腹を立てている従業員が積極的に協力してくれたのです。さて、調査してみると、面白いこと分かりました。

朝と夕方、部課長たちはそれぞれ決められた点検ルートに沿って見回りを行うことになっています。そして、係長や一般社員はそれぞれ決められた場所(タンク、配管など)について、毎日点検を行うことになっています。大きな事故の後ですから、皆さんしっかりと点検をしているようでした。しかし、部課長の点検ルートを密かに調査したところ、朝も夕方も決められたルートとは異なる海沿いのルートを歩いていることがわかりました。つまり、全く点検していない場所があったのです。

この理由を探るために、この調査に協力的な人たちに聞き取りを行ったところ、朝は二日酔いの解消のために、夕方は釣りの様子を見るために海沿いのルートを歩いていることが分かりました。実は、この会社の敷地から釣りができ、アジやイワシだけでなく、黒鯛などもよく釣れるので、ほとんどの従業員が仕事が終わった後で晩のおかずにと釣りをするのです。それで、多くの部課長は勤務中に点検と称して海沿いのルートを歩いていたのです。この調査結果をプロジェクトチームから全社員に報告しました。それで、役員や部課長は反省するとともに、そうしているのは自分だけではないと知って、お互いに気持ちは良く分かると、笑い話になりました。その後、酒の席になるとこの話が出るようです。

毎日、同じところばかり点検しても面白くないとかでマンネリになっていたのです。このことから、点検ルートを曜日によって変えるようにしたり、朝と夕方とで異なるようにしました。しかも、点検ルートの中に海沿いのルートも織り込みました。このことによって、部課長一人ひとりが決められた固定のルートではなく、敷地内すべてのルートを定期的に見回ることになり、マンネリ化を防止すると共に、いろいろな人の見方で点検するので効果が上がりました。このほか、点検マニュアルがなかったので整備し、また、チェックリストも作りました。

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