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2-2 現状業務のムダを見える化する方法

弊社では、工場の現場作業の改善に用いるIE(インダストリアル・エンジニアリング:管理工学)と、製品のコスト削減や製品開発に用いるVE(バリュー・エンジニアリング:価値工学)とを管理間接部門の業務(デスクワーク)に適用することにより、業務の改善・効率化ができるようにしました。その際に、これらの技術を誰にでも簡単にできる方法に変更しました。

つまり、IEとVEの長所と短所を踏まえて、管理間接部門の業務の改善・効率化ができるようにしました。これについて詳しくは、『文科系のためのコスト削減・原価低減の考え方と技術』に書きましたので参考にしてください。

さて、現状業務のムダを見える化するためには、前回の説明を読めばもうお分かりかと思いますが、何はさておき、業務の付加価値分析を行うことです。そして、付加価値のないムダな業務をできるだけ廃止・削減します。その具体的な方法は、「2-8 業務の付加価値分析」をご覧ください。

次に、付加価値のある業務について、その業務を詳細に見える化し、業務の中に潜むムダな部分を見つけて廃止・削減していきます。そのためには、まず、業務要件(条件)を明確にすることです。本来、業務を新たに設計する時には、必ず、業務要件(条件)を設定します。そして、業務要件を基に業務内容(方法)を決めます。ですから、業務を見える化するためには、まず、業務要件を明確にする必要があるのです。具体的な方法は、「2-4 現状業務の見える化(2)ー業務要件の明確化」をご覧ください。また、当然ですが、業務要件が異なれば業務内容も業務時間も異なります。

ちなみに、業務をIT化するときには、業務の要件定義(要件設定)を行いますが、要件定義はIT化する時だけ必要なのではありません。業務を新たに設計する時には、必ず業務要件の設定が必要なのです。ところが、多くの企業では、新たに業務設計を行う時に業務要件の設定を行わず、また、新たに業務に取り組む時にも業務要件の確認を行わないために、業務ミスが生じたり、ムダな業務を行ってしまったりするのです。

そして、IT化する時になってあわてて業務の要件定義(要件設定)を行うので、実態と異なる要件定義(要件設定)を行ってしまったり、要件に漏れが生じてしまったりするのです。その結果、IT化する途中で、いわゆる「手戻り」が何度も生じてしまうのです。ちなみに、IPA(情報処理推進機構)の調査によると、実に、IT化した企業の60%以上で「手戻り」が生じているということです。

要件を明確にした後に、業務を見える化するには、業務内容が誰にでも分かるようにすることです。つまり、誰もがその業務を真似できるくらいに詳しく記述するのです。例えば、「〇〇報告書作成」の場合、この業務を、(1)△△を見る、(2)△△について考える、(3)△△について書く、(4)・・・・・・のように誰が見てもその業務内容(方法)が分かるように分解して記述するのです。つまり、業務マニュアルを作成するのです。具体的な方法は、「2-6 現状業務の見える化(4)ー業務内容の記述」をご覧ください。

ちなみに、業務マニュアルは業務の改善・効率化をする時だけでなく、新入社員教育や業務の引き継ぎを行う時にも必要です。また、当然、業務の管理を行う時にも必要です。なぜなら、業務マニュアルは業務方法が詳しく書かれているわけですから、業務方法を改善することによって、業務の品質、納期、原価を改善することができるからです。

ところが、管理間接部門の多くの人たちは業務マニュアルを作成したことがありません。なぜなら、業務を行う都度、各自の経験と勘によって業務方法を決めているからです。よって、「業務マニュアルを作成することなど面倒だ」と言う人が多いです。そういう人は、まず、工場現場の作業マニュアルを参考にしてください。工場現場では、図面及び仕様書を基に作業方法を決め、作業マニュアルを作成しています。作業方法が決まらなければ作業計画を立てたり、作業管理をしたりすることはできないのです。

このことは、流通(卸、小売り)業においても、サービス業においても全く同じです。売上が増えるか減るは販売方法によって異なります。よって、販売方法を決め、販売マニュアルを作成する必要があるのです。よって、デスクワークにおいても、業務要件を基に、業務方法を決め、業務マニュアルを作成して下さい。そして業務計画を立て、業務管理をきちんと行って下さい。

ところが、筆者の知る限り、業務計画を立てて業務管理をきちんと行っている企業はほとんどありません。大企業でもあまり行っていません。チーム(係)ごとに日々の業務計画を立て、チームメンバーが協力して業務を進めている企業はありますが、課や部単位で業務計画を立て、業務管理を行っている企業はあまりありません。業務管理は業務を実施する担当者が行うか、直属の上司に任せている企業がほとんどです。

ところが、工場ではどこの工場でも、製品ごとに大日程計画(3ヶ月又は半年)、中日経計画(1ヶ月)、小日程計画(1週間)などの計画を立て、工場全体で作業管理を行っています。なぜなら、絶対に顧客に迷惑をかけるわけにはいかないからです。ところが、管理間接部門では業務ミスが生じたり、業務遅れが生じたりしてもあまり問題になりません。実際には、業務ミスが生じたり、業務遅れが生じたりすれば、直接部門にしわ寄せが行き、結果的に顧客にも迷惑をかけることになるのですが、それを直接部門に謝罪するどころか責任転嫁しているのが実情です。管理間接部門における業務管理が工場における作業管理に比較すると、いかにいい加減であるかが分かると思います。

さて、業務記述(業務マニュアルの作成)を行って、1人ひとりが1年間に行うルーティンワークを見える化した場合、このための作業時間が約15時間ぐらいかかります。毎日30分ずつ行ったとしても30日かかります。人によって、あるいは業務の種類によって異なりますが、A4用紙で20枚から30枚ぐらいです。よって、現状業務の見える化を行うのは大変な作業になります。しかし、それでも1人が行う1年間の業務を15時間程度で見える化することができるのです。

これを管理間接部門の全従業員が行わなければなりません。実は、このことが業務効率化を進めるための大きな障害の1つになっています。多くの企業で業務効率化に取り組んでも現状業務の見える化に時間がかかり、結局、見える化できず、その結果、業務効率化ができないで終わってしまうのはこのためです。

ちなみに、管理間接部門の業務別コストを計算するABC(活動基準原価計算)の専門書などには、管理間接部門の全従業員の1年間のルーティンワークを見える化する方法は書かれていません。もちろん、ムダな業務を見える化する方法などは書かれていません。せいぜい、業務日誌に業務内容と時間を記入するという方法が書かれているだけです。しかも、この方法では現状業務の見える化に1年かかってしまいます。なぜなら、1年に1回しか行わない業務もあるので、1年間のすべての業務内容と時間を見える化するには1年かかってしまうからです。また、翌年には業務要件も業務内容も業務時間も変わってしまうのです。

ところが、弊社の方法で行えば、1年間の業務を見える化するのに1人約15時間でできるわけです。しかも、ムダな業務を見える化できるので、すぐに改善・効率化の作業に取り掛かることができます。よって、その後は、ムダな業務を廃止・削減していけば良いわけですから、業務時間がしだいに減って行きます。そして、通常、ほとんどの企業では管理間接部門全員の全業務量の20%~25%の削減ができるわけです。業務効率化活動は、通常、6ヶ月で終了しますので、活動を始めてから半年後には、業務量の20%~25%、つまり人件費の20%~25%の削減ができるわけです。これは筆者がこれまで行って来た数十社のクライアント企業の実績値です。

ところで、周知のことですが、工場現場ではムダな作業を廃止・削減するために作業の見える化を徹底的に行っています。まず、工程単位の大まかな分析である工程分析を行って、付加価値のないムダな工程(作業)を洗い出し、廃止・削減します。次に、付加価値のある各工程の作業時間をストップウオッチを使って測定(作業測定)し、さらに作業方法を人の動作の単位まで分析(動作分析)して、少しでもムダな作業を発見し、削減しようと大変な努力を行っています。ですから、工場の現場では改善・効率化が進むのです。

ホワイトカラーの生産性が低いのは、何度も書きますけれど、ムダな業務や時間を削減しようとしていないからです。工場現場では機械化、IT化(情報化)を進める前に、必ず徹底的に創意工夫をして作業改善を行います。しかも、日常の仕事として作業改善を行っています。

その一方で、管理間接部門の業務分掌を見ると、ほとんどの企業では「業務改善」や「業務効率化」という名称の業務がありません。つまり、業務として改善・効率化を行っていないということです。例えば、生産管理部門の業務分掌を見ると「作業改善」という業務は書かれていますが、「業務改善」という業務は書かれていないのです。つまり、工場現場の作業は改善するけれど、自部門の業務は改善しないということです。

このことは、生産管理部門だけでなく、人事部門でも総務部門でも財務部門でも全く同じです。そして、管理間接部門の業務の改善・効率化と言えば、情報化・システム化とか、情報機器の利用となってしまうのです。頭を使って創意工夫をしないで、金を使って改善・効率化しようとするのです。これではいつまで経っても管理間接部門の業務の改善・効率化はできません。つまり、いつまで経ってもホワイトカラーの生産性は向上しないのです。

弊社で行っている方法、創意工夫によって、つまり投資額0円で、業務効率化を行えば、容易にムダな業務の削減ができるのです。しかも、半年で20%~25%の業務量が削減できるのです。それだけではありません。この方法を習得すれば、誰でも永久にムダな業務を行わなくなります。なぜなら、弊社の方法は業務に対する考え方・価値観を変える方法だからです。その方法を本書に詳しく書きましたので、本書を活用してムダな業務の削減を行って下さい。

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