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1-9 従業員のやる気を引き出すには(1)

たとえ経営者がやる気になったとしても、従業員がやる気にならなければ、業務効率化・業務改革活動は成功しません。そのため、必ずと言っていいほど、従業員のやる気を引き出すにはどうしたらよいかについて経営者から質問を受けます。というのも、通常、労働組合は活動に反対するからです。それで、活動を実施する前に、労働組合の幹部に活動の目的や考え方・進め方を説明し、時間をかけて質疑応答(Q&A)をします。そこで、このQ&Aで、各社共通する主なものを書いておくことにします。参考にしてください。

  1. 首切りが目的ではないのか?

    活動の目的は企画書に書いてあるとおりです。従業員の首切りをすることはありません。そのことは弊社と御社との契約書にも明記してあります。コンサルタントが首切りの手伝いをすれば、そういう評判が立って、今後、弊社は受注できなくなってしまいます。仮に、首を切ることになったとすると、経営者が自ら首を切ることになってしまいます。なぜなら、誰がムダな仕事を指示命令しているのかがこの活動で明確になるからです。

  2. ムダかムダでないかの判断はどうするのか?

    ムダの判断基準はいろいろあります。活動の中で一つずつ具体的に事例をあげて説明します。判断基準に照らしてムダと判断した場合に、その業務の担当者が自らその業務を廃止または時間削減しますが、その際に上司の承認をもらいます。上司が承認するかどうか迷う場合にはその業務を指示命令した人に承認してもらいます。もし、承認されなかった場合には、担当者もしくは上司が役員会に提案することができ、役員会で最終判断してもらいます。

  3. 効率化が進んで時間が余って、もし、退社時間前にその日にやるべき仕事がなくなった場合にはどうするのか?

    そのときは早退してもらうか、もしくは定時まで会社で自由に過ごしてもらいます。実はこれはトヨタ方式です。トヨタでは必要なことを必要なときに必要なだけ行うことになっています。しかし、実際には、まず、残業の削減を行い、それでも時間が余るようであれば、予め新規業務・強化業務の設計をしておき、少しずつ仕事を割り振っていきます。

  4. それでは、効率化しても、その分他の仕事をすることになって、かえって厳しい状況になるのではないか?

    まずは残業をしないようにすることが重要です。その上で、能力に余裕がある人、及びやる気のある人に新しい仕事に取り組んでもらいます。

  5. 能力に余裕がない人ややる気のない人はどうするのか?

    そういう人は残業をゼロにすることだけをめざしてください。しかし、この活動では提案制度を活用しますから、ムダな業務を廃止または時間削減すれば報奨金がもらえます。もし、御社に提案制度がなければ役員会で早急に作ってもらいます。また、一時的な報奨金だけでなく、当然ですが、能力とやる気がある人を今後どう処遇するかについても役員会で決めてもらいます。

  6. コンサルタントのあなたがそんなうまいことを言っても、会社がそうしなければ結局なにも変わらないではないか?

    この活動ではそうすることになっています。弊社と御社との契約事項です。企画書を見ていただければ、必要により人事制度の見直しを行うことになっています。そのほか、必要により経営戦略の見直しや組織の見直しなど経営の骨格の見直しを行うことになっています。

  7. 具体的にどういうことをやってどういうことはやらないのか企画書ではよくわからないが?

    具体的に何をするかは企業によって異なりますので、企画書には活動の目的・目標、基本的考え方、推進体制、プログラム概要など基本的なことしか書いてありません。活動を実施する前に、予め、従業員の皆さんに無記名でアンケート調査をしたり、こうして労働組合の人と話し合ったり、役員会で話し合ったりしてから具体的に何をするかを決めます。そして活動の詳細なプログラムを作り、そのプログラムに沿って活動を実施します。また、活動の途中で必要によりプログラムの修正や変更を行います。

  8. 能力のない人や、やる気のない人については考えなくてもいいが、能力もやる気もある人が満足するような会社にするにはどうすればよいと思うか?

    離職率が高い企業など、企業によってはこの活動の目的を、「従業員満足と顧客満足の向上」とする場合があります。この場合には、この目的に沿って活動を行いますので、プログラム内容もそのような内容になります。基本的に、従業員が満足しない会社は顧客満足も得られません。したがって、業績も上がりません。ですから、従業員満足が業績向上には重要です。本来、従業員は自分のために働いているのであって、会社のためや顧客のために働いているのではありません。すべて本音で対処しなければうまく行きません。実は、トヨタが強いのもこのためです。トヨタの経営の根本は従業員満足にあります。それは、トヨタの提案制度を調べてみればよく分かります。

  9. あなたの話はいいこと尽くめで、信用できない。本当にあなたの言うようになるのか疑問だ?

    この活動は管理間接部門の業務が対象ですが、管理間接部門のユーザー(お客様)である直接部門に管理間接部門の業務およびこの活動に対する評価をしてもらいます。また、活動の内容はすべてオープンにしますので、どのような状況なのかは社員全員が分かるようになっています。もし、途中で活動に問題が生じれば、その状況も社員全員が分かります。したがって、社員全員でこの活動内容を常にチェックしていることになります。誰がムダな業務を指示命令しているかだけでなく、積極的に活動を推進している人が誰で、そうでない人は誰かも分かります。さらに、この活動に対して意見がある人はいつでも事務局を通じて意見を言うことができるようになっています。その際に、事務局を通さないで直接コンサルタントにメール等で意見を伝えることもできます。

  10. 活動の内容はすべてオープンにするというのは具体的にどうするのか?

    この活動の推進委員会(役員会)、実行委員会(部門長会)、課題別プロジェクト会合、事務局会合などの各議事録を社員に公開します。また、この活動ではプログラムの各ステップごとに参加者全員に対してコンサルタントがそれまでの状況および内容の説明を行います。その際には希望者は誰でも参加できることになっています。したがって、この活動で最も厳しい状況に置かれるのは推進委員(社長や役員)や実行委員(部門長)だと思います。社長や役員がこの活動を途中で投げ出さないようにコンサルタントも支援します。

以上

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