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ITを活用しない業務効率化、業務改革の重要性

業務効率化、あるいは業務改革と言えば、最近ではITを活用するのが当たり前という風潮になっています。しかし、業務効率化、あるいは業務改革だけでなく、本来、すべての改善・開発・改革活動は頭を使って創意工夫を徹底的に行った後にIT化する、あるいは機械化するものです。それにもかかわらず、ITベンダー(販売業者)の誘いに乗ってムダな投資を繰り返す企業が後を絶ちません。この原因は頭を使って創意工夫する努力をせず、金を使って安易に改善・改革しようとしたためです。よって、自業自得でしょう。

いわゆるホワイトカラー(管理間接部門)の生産性が直接部門に比べて未だに低いのは、単に創意工夫をしていないからです。工場現場のような直接部門では昔から創意工夫による改善を行ってきました。現在でも、日々、創意工夫による改善を行っています。そしてこれからもずっと創意工夫を続けていくことでしょう。

40年以上前、筆者が学生のころ、いわゆるホワイトカラーの生産性が欧米に比べて低い、また、直接部門の生産性に比べて低い、ということを学びました。それ以来、現在まで、多くの企業でホワイトカラーの生産性を向上させるためのいろいろな試みがなされました。しかし、それらの試みは成功したとは言えません。その理由は、それらの試みが的を射たものではなかったためです。その結果、未だに欧米に比べてホワイトカラーの生産性が低いのです。そのうえ、最近においてはITの発達により、ホワイトカラーの生産性を向上させるための本来の努力、すなわち頭を使って創意工夫する努力をほとんど行っていないのです。IT任せで本来の改善・改革を行っていないのです。

筆者はこれまで30年以上の間、経営コンサルタントとして一部上場企業から小規模企業まで多くの企業でITを活用しないで創意工夫によって業務効率化あるいは業務改革のコンサルティングを行ってきました。

この本を書くきっかけは、筆者が学生時代から40年以上経っているのに、未だに欧米に比べて日本のホワイトカラーの生産性が低いことです。そこで、これまで行ってきた筆者の考え方と進め方を整理してみました。この考え方と進め方を多くの企業で利用してもらい、ホワイトカラーの生産性を向上させ、ムダなIT投資をしないようにしていただきたいのです。

まず、40年以上前から現在まで筆者が知っている業務効率化、あるいは業務改革の試み、すなわちホワイトカラー(管理間接部門)の生産性を向上させようとする試みをリストアップすると、次のようになります。

  1. 事務工程分析
  2. ソフトVA
  3. MIC計画
  4. DIPS
  5. VEアプローチ
  6. VIP
  7. BPR
これらの試みはすでに書いたように的を射たものではなかったのです。IE(管理工学)やVA(価値分析)/VE(価値工学)などの改善・開発・改革技術を利用していても、これらの本来の考え方を無視し、小手先の手法に偏っていたり、本来、業務とはどうあるべきかに関しての考察がほとんどなされていなかったりしたためです。つまり、これまで先人が積み上げてきた知識や技術をほとんど無視しており、ホワイトカラーの業務の特徴を踏まえたものではなかったのです。

特に、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)はアメリカのコンサルタントが日本の各社の業務改革活動を参考にして、アメリカに適した方法に作り変えたものであり、いろいろな業務の問題点を具体的にどう解決するのかといった考察が全くなされておりません。BPRはITを活用した業務革新を目指したものであり、日本のお家芸である改善、すなわち創意工夫による生産性向上を放棄したものであると言っても過言ではありません。というのも、創意工夫なくして、IT化や機械化を進めてもそれは砂上の楼閣に過ぎないからです。業務は人が行うものでありITや機械が行うものではないのです。ITは道具に過ぎないと数十年前から言われ続けているにもかかわらず、BPRに多くの企業が飛びついたのは、ITを活用すればホワイトカラーの生産性向上が労せずしてできると勘違いしたからではないでしょうか。

また、BPRに目をつけ盛んに営業攻勢をかけたのがITベンダーです。そのため、多くの企業はムダなIT投資を行い、未だにホワイトカラーの生産性が向上しないままになっているのです。一方で、ホワイトカラーの生産性が向上している企業では、例外なく徹底的に創意工夫による改善をした上でIT化を進めているのです。

まず、IT投資をしないで、頭を使って創意工夫を徹底的に行うべきです。それだけでほとんどの企業では全業務量の20%~25%の業務効率化ができます。これは、筆者のコンサルティング経験による数字です。また、これまで筆者がお手伝いした数十社の大企業においては30%以上の業務効率化を行っています。

業務効率化の目的はムダな業務の削減による人件費の削減でありコスト削減です。業務効率化の考え方・進め方の要点を述べると、各自が行っている1年間の業務を誰もがマネできるレベルにまで「見える化」して、それらの業務一つ一つについて徹底的にムダを排除します。ちなみに、日本の経営コンサルタントの草分けである上野陽一氏の定義によれば、「ムダとは誰のためにもならないもの」を言います。つまり、自分のためにも、人のためにも、会社のためにも、顧客のためにもならないものです。

したがって、逆に、業務一つ一つについて誰のためになっているかを徹底的に調査分析するとともに、業務本来のあるべき姿について、徹底的に検討します。そうすれば、ムダな業務が明確になるとともに、業務の目的、機能(役割)、方法が明確になります。人は自分が行っている業務の内容(方法)はよく知っていますが、何のために行っているのか、どのような機能(役割)を果たしているかをよく知りません。よって、ムダな業務を無意識に行ってしまうのです。

一方、業務改革の目的は企業によって異なりますが、中期経営計画の達成を目的にする企業が多いです。この場合に、業務改革の考え方・進め方の要点を述べると、まず、中期経営計画がどのようにできているかを確認します。つまり、どのような経営戦略及び事業領域の基で、どのような理由によりそのような計画になっているのかを確認します。そのうえで、中期経営計画を達成するために、どのような組織、人事制度、業務の仕組み(業務システム)が必要かを検討しこれらを再確認します。そのうえで具体的にどのような業務が必要かを検討し業務設計を行います。企業によっては経営戦略の見直し、事業領域の見直しを行ったうえで、中期経営計画を再設定する必要があります。

中期経営計画達成のために必要な要員や時間は業務効率化によって社内から生み出します。このために業務改革と並行して業務効率化を実施するわけです。中期経営計画達成のために社内の人員だけでは足りない場合には、新たに採用するか、それとも業務を外注(アウトソーシング)します。なお、通常はまず、残業の削減を行ったうえで人員の再配置を行います。

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