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第1章 コスト削減・原価低減の取組に当たって

1-1 原価とは、コストとは、費用とは

原価は英語ではコスト(Cost)と言います。つまり、原価とコストとは同じです。したがって、どちらを使ってもかまいません。本書でも原価と書いたり、コストと書いたりします。では、原価(コスト)とは何かですが、経営目的に使った費用をコストと言います。つまり、メーカーでは製品の製造や販売のために使った費用を言い、卸・小売業では商品の仕入れや販売のために使った費用を言います。ところで、「原価とコストとは違う」などと言う学者(大学教授)や実務家がいますから、惑わされないようにしてください。筆者は昔、惑わされてしまいました。

では、費用とは何かですが、簡単に言えば使った(消費した)金額です。正確には、「一定期間における企業活動で発生する経済価値の減少を貨幣価値で表したもの」を言います。したがって、費用は一定期間において収益(売上)と対比する場合に用いられます。つまり、売上-費用=利益(又は損失)、として、一定期間の利益や損失を計算するときに用います。

ここで、費用とコストとの違いを確認しておきます。メーカーでは材料を購入するために使った費用であっても、その材料を製品の製造のために使わなければコストとはなりません。それは、在庫金額(棚卸資産)となります。卸・小売業においても、商品の仕入費用のうち販売しなかった商品、あるいは売れ残った商品の仕入費用はコストとはなりません。在庫金額になります。

また、販売費や一般管理費もコストになります。販売費や一般管理費は一定期間に発生する費用であり、これらは経営目的に使われるのでコストとなるのです。つまり、コストには製品の製造コストや商品の仕入コストと、販売費や一般管理費のように一定期間に発生するコストとがあるのです。なお、一定期間に発生するコストを期間原価と言います。

ところで、費用であってコストでないものは、経営目的のために使わなかった費用ですので、棚卸資産の他に、遊休資産、投資目的で購入した株、寄付金、支払利息、火災などの損失金、損害賠償金、法人税・所得税などの税金、配当金などいろいろあります。


ここで、参考までに、製品と商品とサービスの違いについて説明しておきます。広辞苑によれば、製品とは「製造した品物」であり、商品とは「商売の品物。売買の目的物たる財貨」であり、サービスとは「物質的生産過程以外で機能する労働。用役。用務」です。これらの定義から、いろいろな考え方が生まれます。

  1. 工場にあるのは製品であり、商品ではない。工場から出荷され、流通段階に投入されて初めて商品になる。つまり、製品と商品とは異なる。例えば、自社工場で使うために製造した機械は製品であるが、商品ではない。
  2. 製品は通常は売買の目的物であるから商品でもある。つまり、製品と商品とは同じである。自家消費のための製品や不良品などは商品ではないが、これらは例外と考えるべきである。
  3. 製品と商品とは財貨であるが、サービスは財貨ではないので商品ではない。経済学でも、商品とサービスとを区別している。
  4. 情報を口頭、メール、ファックスなどで伝達するのは用役であるからサービスであるが、情報を本にしたり、CDに保存したりすれば製品となる。この製品を販売しようとすれば商品となる。つまり、情報はサービス、製品、商品などになり得る。

本書では、メーカーが製造するものは製品と呼び、卸・小売業が仕入れ・販売するものは商品と呼びますが、メーカーが売買目的で開発・設計・製造する場合には製品又は商品と呼びます。また、メーカーの立場で書いている場合には製品と書き、顧客や消費者の立場で書いている場合には商品と書きます。したがって、製品と商品とを厳密に区別しているわけではありません。製品・商品と併記する場合もあります。なお、本書では商品とサービスとは区別しております。また、製品以外で商品になる品物には、水産物、農産物、林産物などがありますが、本書では主に製品を対象としますので、水産物、農産物、林産物などは除外します。

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